期間工なのに、給与の手取りが減って困った!
求人票の月収に誘われて期間工として働いたはいいけど、
30万以上の月収とあったのに、実際の手取りは26万だった。どういうこと?
税や社会保険の仕組みを知らない人がこの罠に引っかかります。
期間工というくらいだから、一定期間働いて金を稼ぎに来ただけなのに、
なんで税金を払うんだ? 確かに、そう考えることもできます。
期間工として働くということは、大企業の会社の一員になるということでもあります。
数か月のアルバイト感覚で働きに来たけれど、企業としては労働者を守るとい
う立場から、社会保険に入って、労働者である期間工を守る必要があります。
そのため、企業は、期間工の収入の一部からお金を控除しなくてはなりません。
以下は、期間工がどのような負担を強いられるのかを見ていきます。
雇用保険
社会保険制度は主に次の4つから構成されます。
「雇用保険」「労災保険」「健康保険」「厚生年金保険」
このうち、「労災保険」は、会社が全部負担するので、期間工の人は支払う必要はありません。
ここでは、「雇用保険」についてみてみます。

自分の将来の失業に備えて、企業と期間工はそれぞれ法定の利率を支払う必要があります。
平成29年4月からの料率は期間工の場合、総支給額の1/1000(平成30年3月まで) (参照)
ほど支払う必要があります。
かなりアバウトではありますが、手取りではない総支給額が30万なら、
300円くらいしか差し引かれないと考えてよいでしょう。
事業主はその4倍の1200円を支払ってくれます。
期間を満了して期間工を辞めた場合、離職した日以前の過去2年間のうち、
12か月間雇用保険の被保険者期間に含まれていれば、ハロワで就職の意思
を示して活動することで失業手当を受けることができます。
(受給要件の詳細は、ハロワの受給要件の項目を参照)
過去に雇用保険に入っていなければ、最低12か月は期間工として働く必要があります。
また、当然ではありますが、倒産や解雇で離職した場合をいうので、満期で満了せず、
自己都合で退職した場合は、この離職には含まれないので、受給資格を失う可能性が大です。
失業手当をもらう場合は、そこのところも考えておきましょう。
健康保険(社会保険)
業務災害以外の理由で負傷や病気をして病院で治療を受けた後に、
保険証を提示すれば割引を受けられます。このように安く病院を
利用できるのは、健康保険制度があるおかげです。
健康保険料率では、平成29年9月からは標準報酬のおよそ10%の支払いが発生し、
それを労使で折半します。(都道府県でその料率が異なる。以下参照)
たとえば、愛知のTOYOTAで期間工が31万~33万円稼いだ場合、32万円が標準報酬となり、
それに9.92%分を保険料として徴収しますが、うち半分を期間工の給料から差し引かれます。
計算をすると31,744円、うち半分の15,872円を支払う必要があります。(参照)
同じく、40歳以上の方は、さらに介護保険料の支払いも発生するので、
標準報酬額の11.57%(愛知)分支払う必要があり、37024円を労使折半し、
18512円が期間工の給料から差し引かれます。
40歳以上になると負担が重くなり、手取りが減っていきます。
なお、フリーターやニートが期間工になる場合、自分の家族が国民健康保険に加入している場合
脱退の手続きが必要になります。脱退して、会社の社会保険に加入するためです。
国保と職場の健康保険の保険証(後者が未交付の場合は、加入を証明するもの)、
そして印鑑をもって国民健康保険課で手続きをしてください。
そのままだと、二重の過払いが発生し還付手続きをするなど、手続き上面倒になるので、
あらかじめ脱退したほうが良いでしょう。
厚生年金
極めつけはこの厚生年金です。

フリーターやニートであっても、厚生年金には加入していませんが、
かわりに国民皆年金と言われる通り、「国民年金」に加入しています。
もし期間工として働くことになる場合、今まで加入していた国民年金
から期間工として働く企業の厚生年金に加入することになります。
特に手続きをしなくても、厚生年金に入れば、移行手続きが済ませられます。
ただし、入社月に、年金を支払っていれば、加重払いで還付の手続きが必要
になります。
厚生年金の負担部分を見ていきます。
この厚生年金の保険料率については、18.3%(平成29年9月以降固定になる)なり、
これを労使で折半します。
たとえば、上記の「健康保険」の項目と同じく、31万~33万を稼いだ場合の標準報酬が
32万円となるので、この報酬の18.3%分を労使で折半すると、期間工の支払い部分は
29280円。これが給与から差し引かれます。給与が増えれば支払いが増えていきます。
以上、社会保険制度について、期間工が支払う負担部分を見てきました。
およそ、収入の14~16%近くが社会保険の負担で、もってかれるのがわかります。
また、これに加えて、来年度の市民税・県民税の支払いで10%以上もっていかれる
ので、本当に貯金として残せるのは、本来の収入の70%くらいです。
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