2017年10月14日土曜日

有給を取らせないのは違法か?(買い上げと皆勤)


期間工にも有給はある




掲示板に、「有休を取らせてくれない」といった表現がよく見られます。
結局、泣き寝入りして、有休を取らなかったものもいるようです。

しかし、これから期間工を目指す方にも是非知っておいてほしいので、
この記事をまとめました。

有給休暇は、すべての労働者に等しく与えられるもの



これはアルバイトやパートなどと言った弱い立場にある身分にも適用されます。
これが原則です。

原則と言うことは、その反対として、例外もしくは条件が付いてきます。

条件

①パートやアルバイトの場合、週所定労働時間が 30時間未満で、かつ、所定労働日数が週4日以下
に当てはまる時、与えられる有給休暇が労働日数に応じて減らされます。

②雇入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して与える


この条件を見たとき、期間工はアルバイトでありながら、社員と変わらない労働力を
提供しているので、働いている企業から有給休暇を減らされず、法定で定められた日数を
継続勤務の6か月後から、受け取ることができます。

ただ、中には試用期間後に有休をもらえるところもあります。

与えられた日数とは?


労働基準法39条の第1項の通り、10日間の有給が付与されます。

労働基準法39条の第2項には、加算される有給について触れています。
期間工の場合、3年を超えて勤務することがないので、勤続年数の区分に従えば
1年目以降は1日の有給が加算され、2年目以降は2日の有給が加算されます。

つまり、1年目を過ぎると全部で11日分、2年目を超えたところで12日分の
有給休暇がもらえることになります。

それでは、この有給には有効期間はあるでしょうか?実はあります。
労働局によれば、有効期間は2年までだそうです。この部分について触れている
条文は、労働基準法第115条です。

ということは、2年以内に使い切らないと、期間工は有給が残っていると
主張することができなくなります。できるだけ早めに使うように心がけましょう。


退職日までに有休を使いきれない


期間工の場合、正直あまり心配することではないかと思いますが、万が一のため
を考えて、記述しておきます。

普通、期間工の場合、満了日に辞めることになっています。満了日近づく一か月前に
更新するかどうか聞かれます。更新しない場合は1か月後にそのまま退職することになります。

1か月と言うことは、30日ですから、2年以内にしっかり有休を使い切ることを考えれば、
30日内にほとんど使い切ることができます。

多くの期間工は、退職の際、退寮のことも念頭に置いています。退職をしてすぐに退寮
しなければならないところもあるので、できるだけ退職する際は、有休を使って、退寮の
支度を済ませておく必要があります。

数日分、退職の前日分まで有休をもらうようにすると、焦らずに準備ができます。


有休を申請したのに断られた


ご安心ください。原則は、

年次有給休暇は、労働者が請求した時季に与えなければならない

からです。例外として、

事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に与えることができる

とされており、忙しいから与えなくてもよいということは絶対できません。
与えない場合は、法律違反となり罰せられます。

労働基準法第119条によれば、

次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

とあり、この各号の中に、労働法基準法39条とはっきり書かれています。

有休の申請を拒み、実際に、有休が支払われなかったタイミングで労基に訴えることになります。
もしくは、有休を申請したのに、当日に出勤を命じられた場合にも違反に該当します。


なので、課長や係長に怒られたからと言って、あきらめずに申請してください。
必ずもらえるものだからです。


買い上げの問題について


同じく、掲示板に良く取り上げられるのが有休の買い上げについてです。

有休とらないで、退職直前に申請すれば倍に買い取ってもらえる。
などと言った記述があります。これは、嘘です。

まず、上で見た通り、有給休暇は与えなければならないものです。これが法律に
はっきり記述されている部分です。

逆に、有給休暇を買い上げることについては、法的な記述はありません。

なので、労働者が有休をとれなければ、企業はそれを買い取る義務もないし、
有休を取れなかったことについて、労働者が企業に買えと言うことも主張できません。
また、買い上げしたからと言ってそれが法律違反になるわけでもありません。

「法的な記述がない」と言うのは、そういう意味なのです。

だから、一番確実な方法として、期間工の労働者は、有休をすべて使うように
努力をすることです。買い上げしてもらえるなどと思わないでください。


有休は皆勤の妨げになるか?


皆勤に響くんではないか?とびくびくして、有休がとりづらいと思ったことはありませんか?
この部分についても、法的な記述があります。

労働基準法附則第136条には次のような記述があります。

使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、
賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

この記述によれば、有休を取ったことで、皆勤手当てなどを与えないなどと言った不利益を
与えることは通常は許されません。

ただ、判例では、無効とまでは言えないといった使用者側に有利な判決がありますが、
皆勤手当が有休や年休を利用することによって、どれだけ労働者に不利益になるかが総合的
に判断されているようです。著しく利益を害する場合はおそらく労働者側が勝つ可能性が
高いでしょう。

関連外部リンク
厚生労働省「労働者の方へ」

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